105mm角の柱に、直径8mmの麻縄を巻いただけ。「猫柱」と呼んでいる。この家の16匹は、この柱でしか爪を研がない。ドア枠も壁紙も無傷のまま。
市販の爪とぎ器を猫が使わないのは、軽くて小さいから。猫が家の中で見つけた「最高の爪とぎ」——柱や家具——に、魅力で負けている。
大切なのは、動かないこと、揺れないこと。猫は全体重をかけて引っかく。そのとき少しでも動けば、猫はそこを使わなくなる。だから仮設ではなく、建物の柱そのものを猫柱にする。
木登り大会が行われる猫柱



■この麻縄を巻いた柱は猫の爪とぎ用に造られました。時々、木登り大会が行われます。ちなみに16匹の猫達は、この「爪とぎ柱」でしか爪を研ぎません。ドア枠を傷つけたり、壁紙を破ったりなんて事はしません。
■This rope-wrapped column was built for cats to sharpen their claws. Occasional "tree-climbing contests" are held here. By the way, all 16 cats only scratch their claws on this "scratching post" — they never scratch doorframes or tear wallpaper.
ディテール — 105mm角の柱に、直径8mmの麻縄
ここから下は『ペットと暮らす住まいのデザイン 増補改訂版』(丸善出版、2021年)に収めた詳細図と解説です。図面を公開している理由はキャットウォークのページに書いています。
市販の爪とぎ器に、猫が満足しない理由
猫の爪とぎ器はいろいろ市販されているが、期待通りに使ってくれず、かわりに家の柱や家具などが、猫の爪でぼろぼろにされている家をよくみる。市販の爪とぎ器を猫が使ってくれない理由は、大きさが小さく、軽すぎて安定性に欠けるからで、猫が爪とぎに最適なものとして、家の中で発見したものよりも魅力に欠けるからだろう。ここで紹介する「猫柱」は頑丈で大きく、ほぼすべての猫に満足のいく爪とぎ器になることを確認している。満足度が高くなる理由はマーキングとしての爪とぎに適した大きさであることと、爪をとぐ最中の姿、よじ登る姿を見たほかの猫は、真似してみたい衝動に駆られるからである。
猫柱は105mm角の柱に直径8mmのマニラロープ(麻縄)を巻きつけて製作する。設置場所は、猫にとっての「場の性質」が切り替わる境界線付近に置くのがコツだ。猫柱の設置が適切で、ストレスが少ない空間が維持できている場合には、爪とぎは猫柱だけでおこなわれ、ほかの場所が破壊されることはほとんどない。ただし、家の中に、少しでも破れたり壊れた部分を放置していると、絶好のおもちゃになってしまい破損はひろがる。
ディテールのポイント
- 柱に巻きつけるマニラロープは径8mmのものを使った場合、巻きつけ高さ1mあたり53m程度必要となる。ロープは一丸200mで売られているので、猫柱を2本分とる場合には、巻きつけ高さを1.7mぐらいにしておくのがよい。
- 猫について書かれた洋書で「Scratching post」に関する記述を探すと必ず sisal(サイザル)という単語が出てくる。これはマニラロープと同じものである。日本ではサイザルロープを茶色に染めたものをマニラロープとよんでいる。またそれらの総称は「麻縄」であるが、正確には麻とは異なる植物である。
図面
猫柱のディテール

105mm角の構造柱を、そのまま猫柱に

図・文:廣瀬慶二『ペットと暮らす住まいのデザイン 増補改訂版』丸善出版、2021年
第3章「ペットと暮らす住まいのディテール」より「爪をとぐための猫柱」
図から読める寸法
- 柱:集成材105mm角(または105mm角の構造柱をそのまま使う)
- ロープ:直径8mmのマニラロープ(麻縄)。巻きつけ高さ1,930mm
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- 家じゅうを巡る猫の回遊動線 — 猫柱を置いた「場の性質が切り替わる境界線」がどこか