2階の小屋梁を「あらわし」にして、小屋裏を猫に開放した。梁を猫のためにわざわざ露出させることは、これまでの日本の家づくりには無かった考え方である。
キャットウォークは幅20cmの板をジグザグに配置し全長10.5mある。大人の猫はルート通りに歩き、若い猫は平行になった部分の80cmを跳ぶこともある。
道をジグザグにしたのは、猫にゆっくりと歩いてもらうため。まっすぐな道だと一瞬で歩き終えてしまい、大事な瞬間を見逃す。ジグザグなら目の前を何度も横切り、後ろ姿まで見せてくれる。
梁の上を、猫が歩く

■キャットウォークは2階の小屋梁の上に、幅20cmの板をジグザグに配置して造っています。上部には天窓が3つあったりして、結構、お昼寝の場所としても活用されています。
■The catwalk is built on the roof beams of the second floor, with 20 cm-wide boards arranged in a zigzag pattern. With three skylights above, it is also quite popular as a napping spot.

■黒い板の部分がキャットウォーク。全長10.5mあります。大人の猫はルート通りに、ジグザグに歩きますが、若い猫達は、平行になっている80cmの距離を余裕でジャンプしていきます。
■The black boards form the catwalk, which stretches 10.5 meters in total. Adult cats walk in zigzags along the route, but younger cats easily jump across the 80 cm parallel gaps.

■[れん君]が、猫ロフトを目指して歩いていきます。この家のキャットウォークはジグザグになっているので、猫はゆっくりと歩き、目の前を数回横切ってくれます。
■Ren heads off toward the cat loft. Because the catwalk in this house zigzags, the cats walk at a leisurely pace and pass right in front of you several times.

■キャットウォークには先客がいたようです。手前から[しろみ][ちなつ][はな]。奥にある猫ロフトを目指していたはずの[れん君]は、猫ロフトへ到着する前に何故か途中で寝てしまいました。
■There were already guests on the catwalk. From front to back: Shiromi, Chinatsu, Hana. Ren, who was supposed to be heading for the cat loft at the far end, somehow fell asleep halfway there before arriving.

■東側猫ロフトから撮影したちょっとカッコいい写真。[ちなつちゃん]が下の様子を窺いながら前へ進んでいきます。※この時、[ちなつ]が見ていた風景は、[MOVIE]で見ることができます。いわゆる「猫目線カメラ」
■A rather cool shot taken from the east cat loft. Chinatsu moves forward while keeping an eye on what's happening below. ※ The view Chinatsu was seeing at this moment can be watched in [MOVIE] — a so-called "cat's-eye camera."
ディテール — 幅20cmの歩行板を、91cm間隔の梁の上に
ここから下は、2021年に出版された『ペットと暮らす住まいのデザイン 増補改訂版』(丸善出版)に収めた、この家の詳細図と解説です。設計者は、その本のまえがきで、図面を公開した理由をこう書いています。
もともと公開する気はなかったのですが、あまりにも安易に私のデザインが模倣されている現状を憂いた結果、いっそのことオリジナルの図面を参考にしてもらい、ペットと暮らす住まいの技術的な進化を望むことにしました。しかし、すべてのデザインにはロジックがあります。形だけを真似しても残念な結果になります。
——この考えにしたがって、寸法と、その寸法にした理由を、一緒に載せています。
屋根裏は、猫の遊び場になる
木造軸組み在来工法の場合、屋根裏には小屋梁が91cm間隔で平行に並んでいることが多い。屋根裏はロフトなどとしてよく利用されるが、猫の遊び場としても十分に活用できる。その方法は天井を通常より高くすることで梁を露出させ、その上を猫が歩けるようにすればよい。ここで紹介するのは単純な直線ではないキャットウォークで、若い猫の早い歩行スピードを抑えるためにジグザグにデザインした事例である。
キャットウォークの両端には眺めの良い窓をもつ猫ロフトがあるので、通り道として、いつもにぎやかに利用されている。使われるための仕組みを考えることは重要である。
吹き抜けのあるリビングルームを一階に設けた場合には、吹き抜けを渡る梁をもちいて同じようなことをすればよい。
ディテールのポイント
- 一般的な梁の幅(105mm)の上で、猫は十分に安全に歩行することができる。ただ、キャットウォークのデザインとしてはアピールが足りないのと、2匹の猫がすれ違うには、その幅は狭すぎるので、幅20cmの歩行板を置いてあげた方がよい。
- 美しく見せるディテールとしては、歩行板を梁の上に直接乗せるのではなく、45mmの材を挟んで、見上げたときに底目が入るようにしたい。歩行板を浮いたように見せる手間が、空間の質を高めてくれる。
図面


図・文:廣瀬慶二『ペットと暮らす住まいのデザイン 増補改訂版』丸善出版、2021年
第3章「ペットと暮らす住まいのディテール」より「梁を利用したキャットウォーク」
図から読める寸法
- 小屋梁:91cm(910mm)間隔で平行に配置。梁幅は一般に105mm
- 歩行板:杉足場板 200×33、水性塗料(黒)、接合部トメ
- 歩行板の下地:米松 60×45(横使い)
- 底目:歩行板と梁のあいだに45mmの材を挟む
- 全長:10.5m。平行部分の間隔は80cm(若い猫はここを跳ぶ)
- ジグザグの振り幅:400mm/455mm、猫ロフト2まわり 1,020mm・1,820mm
- 猫ロフト1の掃除穴:φ500
- 2FLから軒高まで:2,650mm、天井高 CH3,400、猫ロフト2の内法 CH 700
- 上部に天窓(トップライト)3つ
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